こんにちは、氷河期の住人だよ。みなさん、会社でVEってやってますか?
だいたい会社でVEっていうと、「コストを下げろ」ばかり言われますよね。そう、VEというのは、コストを下げるためにも使う手法です。でも従来は「機能」にも目を向けたものなんです。
今回はVEの基本であるファンクショナルアプローチについて、私の5年ほどの実経験を交えながらまとめてみたいと思います。
ポイントはこちら。
〇 「機能」とは、物のはたらき
〇 いらない機能や重複してる機能を探す
〇 代替案を探す
上手く使いこなせると、とても機能的な製品を安価に作ることができるようになるので、技術者としてレベルアップできますよ!
VEの基本 価値=機能 / コスト
目次(クリックできるよ!)
ご存知ない方のために説明しますと、VEはValue Engineeringの略で、直訳すると『価値工学』です。製造業、とりわけメーカーではよく耳にする言葉です。
幾多もの本が出ていますし、中小企業診断士の試験範囲にも入っている非常に重要なものです。
VEの基本公式
細かいことはすっ飛ばして書きますが、価値というのは以下の式で表すことができます。
簡単に言うと、機能を高めるorコストを下げることで、製品の価値を上げるというのがVEです。
店頭でセール商品を見て「この商品お買い得じゃん!欲しい!」と思うことありますよね?
これは、あなたの中で無意識にVEの公式で計算され、『価値がある』と判断されてるのです。
そう、『お買い得感』は『機能』と『コスト』でできています。それを私たちは無意識で計算し、ある一定の価値があったら買っちゃうのです。
ファンクショナルアプローチって何?
ファンクショナルアプローチというのは、直訳すると「機能研究法」です。
VEで定義されている「コスト」「機能」のうち、機能に重点を置いたVEの進め方です。
この手法の第一人者と言われている(というか一番に名前が出てくる方)が、横田尚哉さんです。(だいぶ前に「情熱大陸」にも出演なされてましたね)
この本はとても分かりやすくて実践しやすいので、本当に名作です。
しかし企業で実践していくには、会社に合わせてやり方をアレンジする必要があります。私は中小企業でVEをやっていますが、実際はもっとミクロな視点です。「機能でモノを見る」「機能に分解する」をして、「重複機能の削減」「低価値機能の見直し」くらいです。
なのでこの記事では、「機能でモノを見る」「機能に分解する」だけに絞ってまとめています。
『機能』って何?
コストはまだわかりますが、『機能』って何でしょう?難しい言葉を出すと面倒なので、例で説明します。
たとえば、透明のコップの機能を考えます。透明のコップは
- 液体を保持する
- 中の液体を見る
という機能があります。そう、機能って『物のはたらき』のことです。
ファンクショナルアプローチは”機能でモノを見る”、ということが前提です。
機能がわかるとなぜコストが減る?
モノの機能がわかると、機能が重複してるものや不要な機能を持つものが見えてきます。そうしたものを廃止したり他のものと置き換えたりすると、コストが下がります。
あとは機能ごとに分けておくと、その機能に対してコストがいくらかかっているか、というのが構成部品の値段からわかります。割高な機能はコストを下げてバランスを取ったりするなど、重点的に対策します。
ファンクショナルアプローチの例:注文住宅で考えてみよう
わかりやすく説明したいので、家を例としますね。注文住宅のプランを考える時だとしましょう。(金額も高いですからね)
例えば、ベランダ。
ありがちなのが、「2階に軒下の大きいベランダが欲しい!」という人がいます。

・・それ、本当ですか?さっそく機能を見てみましょう。
ベランダの機能
- 洗濯物を雨から防ぐ
- 物干し竿を保持する(洗濯物を干す)
- 布団を干す(壁の機能です)
- 転落を防止する(壁の機能です)
- プライバシーを保護する(壁の機能です)
- 物干しラックを置く(靴などを干す)
- 排水する
以上。ベランダって値段の割に、思った以上に機能が少ないのです。


人によって出る意見が違うのもVEの醍醐味だよね!
代替案を考えよう
この中で、家の中にある他のものと重複している機能を考えます。
- 布団を干す → ふとん乾燥機で代用できます。
- 物干し竿を保持する→ 家の南側の窓辺でいいのでは?(室内用の物干し竿の取付具があります)
- 物干しラックを置く → 家の南側の窓辺でいいのでは?
- それ以外の機能 → そもそもベランダがなければ不要です。
他で代用できる機能ばかりです。その割に、ベランダは施工費用が高いのです。
結論:ベランダ自体いらない
全ての機能に代替案が思いつきました。じゃあベランダはいらないですね。
Point!
- ベランダを無くして、陽当たりの良い小さいスペースを室内に作るだけでいいのです。
- 吹き抜けがあれば、手すりに洗濯物を干せるので、それすら不要です。
- もっと言うと、ユニットバスに物干し竿をかけられるようになっていて、乾燥機能があれば雨でも大丈夫です。
ちなみに、実際に私の家にはベランダがありませんが、全く不自由はありません。
・・なんて言いましたが、これは例です。価値観の違いもありますので、ベランダを全否定するわけではありません。
こんな感じで家を建てる時は『機能』に着目して、代用できるものや重複しているものを省くと価格も安くなりますし、間取りの制限も減ってきます。浮いたぶん、他を豪華にすればいいと思います。
・・・製造業はこんな感じでコストダウンをやっています。
アイデアを出すのが上手い人がいると、次々と面白い案が出てきます。アイデアの出し方はこちらを参考にしてください。
カタログを見てみよう!
同じ要領で車、エアコン、テレビなども選んでみるとコツがつかめます。これらはカタログに『機能』が載っていますので、この機能はいる、いらない、って選んでると、自然と決まってきます。
特に旦那さんの車、これは無駄な機能が満載ですよ。
・・・なんて調子にのってしまい、私はこれでハイパワーの3ナンバー車から軽自動車になりました・・。
おわりに
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
駆け足での説明になりましたが、わかりましたでしょうか?
慣れてしまえば何を見ても機能が5つくらいさらっと出てくるようになりますので、身の回りのもので繰り返し練習すると上達が早いです。
私は↓の本を読みつつ、実践で勉強していました。機能を出す作業って、慣れないとけっこう大変なんです。
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