こんにちは、もうCADの操作を忘れかけているさむいぞうです。

機械設計、といっても色々なジャンルのものがありますよね。製図も色々あります。

というのも、どんな部品かによって図面の書き方が違うんです。

それは当たり前のことでは
ぞう
ぞう

例えば溶接モノだったり、機械加工部品。鋳物もありますし、板金もあります。

その中で今回は板金の設計について、ちょっと解説してみます。

昔は毎日のようにやっていたのですが、現職では板金設計をほとんどやらなくなってしまいました。なので、備忘録としてポイントだけさらっとまとめてみます。

point!①展開できるかどうか
②曲げるための金型と干渉しないか
③板金曲げのルールに沿っているか
④角の処理はちゃんとしているか?
⑤塗装のことは考えているか?

板金の設計製図、たったこれだけポイント

板金って何なの?

これがわからないと板金設計は始まりませんよね。「板金」というのは、板の材料を切り出して、曲げたり溶接したりして作るものです。

板を切り出して曲げるというのがポイントですね。

どうやって板を切り出す?

いちばん一般的なのは、レーザー加工機で板を切り出します。今時は便利ですので、CADデータの通りに切ってくれます。

穴はレーザーで開ける場合もありますし、タレットパンチがついた複合加工機ならプレスで穴あけもできます。

どうやって板を曲げる?

板を曲げるのはプレスブレーキという機械を使います。凸と凹の金型があって、それを油圧で押し付けると板が曲がるわけです。

こうやってできたものを溶接したり、塗装したりして板金部品が完成します。

どうやって設計・製図をするの?

普通の設計・製図と何が違うのでしょうか?

何を使うの?

ごく普通の3D-CAD、もしくは2D-CADでできます。今時の3D-CADなら、だいたい板金モードがついていたりします。(オプションの場合もあります)

最悪レーザー加工機にデータを出すだけなら、DXFなど中間フォーマットで出力できる2D-CADがあれば何とかなります。

設計・製図のポイントは?

①展開できるかどうか

板金部品は、1枚の板を曲げて作っていきます。なので、広げて1枚の板にならなければいけません。

②曲げるための金型と干渉しないか

金型にはさんで板金を曲げていくのですが、複雑な形状になってくると金型に板が当たって曲げられない、ということが起きます。(コの字に曲げた時に起こりやすいですよね)

そういうときは、ブレーキの金型CADデータをインポートして、あてがってみれば確認できますよ。

③板金曲げのルールに沿っているか(曲げR、最小曲げ高さ、突き当て形状など)

会社によっても違いますが、板金設計には色々ルールがあります。例えば、曲げR。

一般的な曲げR(半径)は、板厚=曲げRです。

なので、図面に指示がなかったら板厚が曲げRと解釈されるケースが多いです。それ以下のRで曲げようとすると、曲げたところから破断しやすくなるので慎重な計算が必要です。

他には、最小曲げ高さというのがあります。

曲げて強度を出したいっていう理由で5mmだけ曲げたい・・なんて思う人がいるかどうかわかりませんが、これはできません。

なぜかというと、プレスブレーキで曲げる時にバックゲージという所に押し当てて寸法を決めるのですが、それが使えないので板に対して平行に曲げられないからです。

バックゲージの最小長さより短い突き出しでは、平行に曲げられません。

バックゲージでもう一つルールがありまして、曲げと平行な端面がないと曲げられません

プレスブレーキはバックゲージに突き当てて位置決めすることで、正しく曲げることができるものです。なので、バックゲージに安定して突き当てられないものは曲げられません。

そして、できるだけ曲げと平行な端面を広く取ると、加工しやすいです。

④角の処理はちゃんとしているか?

曲げの角というのは、かなり大事です。無理な曲げをすると、曲げたところから割れることがあります。ということで、角の処理を考えることが大事です。

下の絵のようにキワを曲げるのは「無理曲げ」と言われていて、うまく曲がらなかったり、最悪の場合割れたりします。

なので、できるだけキワにならないように周囲を逃がしてやるのが大事です。いろんな逃がしかたがありますので、状況によって使い分けるのがいいと思います。

注:曲げた部分の側面が盛り上がるので注意

ブレーキで曲げた時に、下の絵のように角が外に飛び出てしまいます。これが邪魔になることがありますので、端面を使う場合はちゃんと右下の絵のように角を切り欠いたりしておきましょう。

⑤塗装のことは考えているか?

板金部品は塗装して使うケースが多いです。塗装する時に必要なのが、吊り穴と水抜き穴です。

これらが考慮されているのが、いい板金設計だと思います。もっと言うなら、追加で穴をあけることなく、既存の穴をうまく配置して兼用させるのが良い設計です。

あと粉体塗装の場合、板厚方向の塗装がはがれやすいので注意しましょう。

おわりに

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

板金部品はカバーなどで多用されるので、目に付くところに取り付けられがちです。なので、キレイに仕上げられるように考えて設計できると最高です。

また、(会社にもよりますが)板金部品は安価にできるので、モノによっては既存の部品を板金に置き換えるとコストダウンにもなります。

そんな感じで板金の設計について備忘録でした。

しかしまあ絵が下手すぎて頭に入らないね
ぞう
ぞう