つまづいた人がキャリアアップするための”中小企業への転職&仕事術”ブログ ※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

3次元CADって本当に必要?3D歴19年が語る「3Dのメリット」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

みなさんこんにちは。3D CAD歴19年の氷河期の住人だよ。

私は2001年、21世紀の始めから3D CADを使っていました。当時は従業員10人そこらの町工場で働いていましたが、町工場にしては相当導入が早かったと思います。

当時はまだほとんど2Dの時代でしたが、今ではもうどこの会社も当たり前に3Dを使っています。
しかし長年3Dで設計をしていると、あることに気が付きます。

2Dのほうが図面描くの早いじゃん・・・

そこで今回は、なぜどこの会社も3D CADを使うのか?何のメリットがあるのか?ということについてまとめてみようと思います。

これを読んで頂き、2Dへの回帰・・・とはいいませんが、本来やるべきことは何なの?どうすれば設計時間を短縮できる?という答えを見つけて頂けるとうれしいです。

機械設計者から見た3D CADのメリット・デメリットとは?

3D CADとは

基本的なこと

3D CADとは今までの図面を描くCADが平面でしか表現できなかったのに対し、立体モデルで表現できるものを指します。

それ以外の詳細は以下で

どんなことができる?(解析とかの話)

  • 重量チェック(重心チェック)
  • 干渉チェック
  • 動作チェック(リンク構造など)
  • 応力解析(たわみも含めて)、熱解析、振動解析、流体解析

Creoだと以下にできることが書いてあります。オプションですが。

3D CADにはどんなメリットがある?

単純ミスを減らせる

ほとんどの企業の採用理由はコレじゃないか、と言われているくらい多い理由です。

要は経験の浅い人でも、ちゃんと干渉させずに成立した図面を描かせるために3D CADを採用しているのです。確かに手戻りして余計な費用と工数が発生するよりはいいかもしれません。

つまりベテランにはあまり旨味のないメリットでもあります。

顧客や社内の非設計者に説明しやすい

地味に役に立つのがデザインレビューの時です。役員や営業に説明する時に、3Dだと理解が早いのです。なので今ではどこの会社でも、レビューは必ず3Dデータを見ながらになっています。

3Dデータを必要とする加工には必須(CAMや3Dプリンターなどとの連携)

これはメリットではなく必然です。レーザー加工やワイヤー放電加工などは2Dデータで良いのですが、マシニングセンタなどで使うCAMデータの中でも複雑形状は基本的に3Dデータが必要です。

最近では3Dプリンタとかもそうです。ほぼ3Dデータ必須です。

解析が簡単にできる

私が3D CADの最大のメリットだと思うのは解析です。

2Dだと重量を計算するのにけっこうめんどくさいですが、3Dならボタン1つです。しかも重心もすぐ出ます。

またイナーシャ、応力解析や固有振動数、熱解析なども人力では相当難しいものが、条件設定さえちゃんとすれば簡単にわかるのです。真面目に設計をやろうとすると、これ無しではできません。

3D CADのデメリット

実は図面を描き終えるまでに時間がかかる

本当に誰も気づいていないのか、はたまた気づかないふりをしているのか、意外と誰も言わないデメリットです。

3Dのほうが図面を描き終えるのに時間がかかります。当たり前です。モデリングという手順が増えているんですから。しかも3Dは図面の体裁を整えるのに意外と時間がかかります。

断面やら、省略やら、いらない線を消すやら・・・

その点2Dなら適当に書いてもエラーは出ないので、たとえコーナーで線が途切れてても、最悪は三角法が成立してなくても問題ないわけです。(2Dデータを使うような加工をする場合は除く)

なので解析やデータを加工に回す必要がなければ、2Dのほうが圧倒的に早いのです。

PCのスペックが相当必要

2001年頃の話ですが、車関係の仕事をやっていると、車両の板金データが重すぎてPCがフリーズしまくる問題がありました。(一日の大半はフリーズ画面を眺めてるだけ・・・)

当時最高に近いスペックのPCでもまともに動きませんでした。ワークステーション+10万円以上のグラフィックボードでなんとか動く・・といった感じでした。

ソフトによって程度は違うのですが、今では大規模アセンブリでもそれなりのスペックのPCで動くようになってはいますが、それでも大容量のメモリとグラフィックボードは必要です。

2Dなら安いPCで十分動きます。ノートでも問題ないです。PCを選ばないのは2Dのメリットです。

導入費、維持費が高い

2D CADのデファクトスタンダードと言われていたAutocadLTがだいたい10万円です。

3Dはハイエンド(Creo、CATIA)になると数百万になり、維持費もエゲつない額です。

SolidWorksなどのミッドレンジでも100万はします。

価格はこちらのサイトを参考にしています。

ちなみに現在私はハイエンドになるCreoを使用しています。しかし、はたしてこんな高額なCADを使うほど価値のある仕事をしている会社が何社あるやら・・・

インフラ(社内基準)を作るのに途方もない時間がかかる

私が一番問題視しているのがこれです。なんせモデリングのやりかたまで統一しないと効率が非常に悪くなるからです。

すでに3Dをやっている人ならわかると思いますが、どんなモデリング順でもモデルはできます。しかし他の人が操作するときにモデリング順がわかっていないと、モデルを編集するたびにエラーを連発することになり、復旧にものすごい時間がかかるのです。

なので会社はモデリングのルールを作ることになるのですが、まあこれが時間のかかること・・・

やれ共通部品だのリーマ穴はこうしろだの決めることが山ほどあり、それを全員に周知しないといけない。しかも周知しても、できない人が必ずいる。これで苦労している会社をどれだけ見てきたことか・・

しかも何社かみていますが、全社ルールが全然違うのがまた面白いところです。

どういう会社に3D CADが必要なのか?

ここまでの内容をまとめますと、以下の通りです。

  • 3Dの加工データが必要な会社
  • 図面が読めない人に説明する必要がある会社
  • 解析機能が必須の会社
  • 取引先からデータが3Dで要求されてる会社

つまり、これを必要としない会社に3D CADは必要ありません。仮に必要だったとしても、1ライセンスで十分な場合もあります。

本当に高額な費用を払ってでも3D CADを導入、または維持する必要があるのか?ということをよく考えたほうがいいと思います。

コストかけて生産性が低下するなんて悲しすぎますから・・

おわりに

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

補足しますが、この記事は別に3D CADに対する批判ではなく、本当に効率のいい設計業務とは?というのがこの記事の主旨です。

私の考えとしては、(解析をやる前提ですが)基本は3Dで、解析を必要としなくて単発(製品で採用しない)のものは2Dが良いのではないかと思います。実際そうしてますが、場合によっては手描きでもいいとすら思ってます。

とにかく生産性を上げるには、効率です。自分が最善と思う方法を考えて業務を進めるのが本当の技術者だと私は思います。

でもめんどくさくなって3Dでダラダラ描くこともたまにありますけどね・・・


~オススメ記事~

なんとなく製図用シャーペン使ってないですか?本当に設計者に向いているシャーペン探しましょう!

『技術者は製図用シャーペン』?本当にジャストなシャーペン探し!

機械屋でも電気回路設計してもいいし、ラダーくらいなら組んでもいいんですよ・・・

特殊な能力がなくてもオンリーワン、マルチスキルを身につけよう!

 


 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。